わずか7日間でその幕を閉じた、昭和64年。その間に起きた少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」。未解決のまま時は過ぎ、時効まで1年と迫ったある日、「ロクヨン」を模した誘拐事件が発生する-
映画館で見そびれてしまった作品がプライムに来ていたので一気見した時の感想です。
D県警 シリーズ
この映画は「横山秀夫」さんの警察を舞台にした小説です。予告だけ見ても本当の事件のような作りだったので実話だと思い込んでました。
~翔子ちゃん誘拐殺人事件~
D県警の管内で初めて起きた本格的な誘拐事件。昭和64年1月5日にお年玉をもらってくると言い残して昼過ぎに自宅を出た雨宮翔子は、近くの親類宅に向かう途中、忽然と姿を消した。身代金2千万円を奪われ、雨宮翔子は無残な死体で発見された。半人不詳。
映画のテーマは警察への不信感「警察発表」です。実名、匿名など警察が記者クラブへ提供する情報について広報官という立場の主人公が警察組織へ立ち向かうストーリーと、時効を間近に向えた未解決事件の「64ロクヨン」の真実に立ち向かう2つのストーリーが同時進行で進みます。
前編・後編
非常に長いです。事件モノなのでストーリー自体は暗く、画面描写も雨のシーンや夜のシーンが多いので、どんよりとした雰囲気でストーリーが展開されます。
前編・後編の2部構成(劇場でも、2016年5月7日に前編、6月11日に後編が公開されています)なので、約4時間という長編映画に仕上がっています。
前編が、翔子ちゃん誘拐殺人事件の発生から遺体発見と、別の事件での容疑者と被害者の実名、匿名を巡っての警察広報室と記者クラブとの確執が主軸となって進みます。
後編は、記者クラブと警察広報室の確執が治まる部分から、翔子ちゃん事件が模倣された誘拐事件が発生するところから始まります。
「昭和」が懐かしくなる
天皇が崩御して、年号が変わり、その時に発生した出来事はすべてかき消されてしましました、例えそれが、凶悪な事件であっても。
時代は、携帯電話が普及しインターネットとパソコンによって時間と距離の壁が無くなりかけている時代でした。
主人公をはじめ、登場する刑事は携帯電話を所持して連絡を取ります。普及しだした頃なので、全員ではありません。誘拐事件の脅迫電話ですら固定電話にかかってくる時代です。電話をリールテープに録音するシーンや「逆探知お願いします」というセリフも、昭和という時代を感じさせてくれます。
また、ストーリーの鍵を握る「電話ボックス」も登場します。テレフォンカード、10円を投入して電話をするなど、数年後にこの映像をみて何をしているのか不思議に思える懐かしさを演出してくれるアイテムが沢山登場します。
匿名か実名か
原作と異なるラストということなので、原作を読んでみたくなりますが、映画では最終的に、すべてが丸く収まります。(最後の電話が鳴るシーンを良い方に受けとるとですが)
映画を通して思うことは、「実名か、匿名か」という事でした。ストーリー中でも「記者クラブ」と「県警報道室」が、実名報道について激論を交わすシーンが印象的に残ります。
報道されるのを恐れる「警察側」と、報道する、しないに関係なく正確な情報が欲しい「記者側」で対立が生まれます。冷静になって考えれば、各々が情報について考えて、決めれば良い話なのですが、世の中そんなにうまくは行かないのも現実です。
この何かに対して恐れずに「対峙」するとテーマがこの映画のメッセージだと思います。報道する側との「対峙」、被害者が未だ見ぬ犯人への「対峙」、我が子の想いに対して「対峙」など真剣に向き合わないと壊れてしまう関係が世の中には沢山あるということを伝えてくれる作品でした。
まとめ
映画「64ロクヨン」は、かなり多くの役者さんが登場します。4時間という長編なので物語の進行は遅く感じますが、その分、十分に内容に対して考える時間を与えてくれます。
1つの誘拐事件について、警察内部の隠ぺい体質について深堀したストーリーになっていますが、その他に「失いたくない」存在に、時には自分を捨てて真摯に向き合うことが必要で、間違えると壊れてしまうということを教えてくれました。
単なる警察映画ではなく、夫婦や職場、親子など人間関係などに悩んでいる方にオススメな映画だと思います。
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